死者19人、22人が不明…停電ほぼ全域復旧へ

 北海道南西部の胆振いぶり地方を震源とする最大震度7地震で、北海道電力は7日午後8時現在で、北海道のほぼ全域にあたる約295万戸のうち、6割を超える約186万戸で停電が解消したと発表した。8日にはほぼ全域の停電が解消される見通し。新千歳空港は7日午前、国内線の運航が再開。8日に国内線の大部分と国際線の全便で運航が再開される。北海道新幹線札幌市営地下鉄も7日午後、再び運行を始めた。

 経済産業省は停電の解消について、全域が停電になるブラックアウトを防ぐには、ピーク時の380万キロ・ワットの電力供給を確保することが必要だが、最大360万キロ・ワット規模を確保できるメドが立ったとしている。それでも20万キロ・ワット足りない状況で、政府は、主力電源の苫東厚真とまとうあつま火力発電所(厚真町)が復旧するまでは、「ぎりぎりの綱渡りの供給態勢が続く」として、最大限の節電を呼びかけている。

 読売新聞の自治体などへの取材では、地震による死者は、大規模な土砂崩れが起きた厚真町の15人を含め19人に上った。道庁によると、22人が行方不明や連絡がつかない状態となっている。負傷者は361人。7339人が避難所に身を寄せている。

 自衛隊は7日、投入人員を前日から大幅に増やして約2万4000人態勢で不明者の捜索活動などにあたった。同日午後には、土砂崩れで水路が埋まって決壊の恐れがあるとして、厚真町の厚真ダムで土砂を除去する作業にも着手した。

 NTT東日本によると、停電時に使われる非常用電源が切れ、道内の複数の地域で固定電話など約12万7000回線が利用できなくなっている。NTTドコモ、KDDI(au)、ソフトバンクの携帯電話大手3社も、一部地域でつながりにくくなっている。

 一方、気象庁は7日、札幌市東区震度6弱を観測していたと発表。これで震度6弱は北海道内の4市町となった。余震とみられる地震も続いており、7日は震度3を5回観測した。地震発生後の24時間にマグニチュード(M)3・5以上の地震が計47回起きており、同庁は「今後1週間程度は最大震度7程度の揺れに警戒が必要だ」としている。

 北海道は低気圧の通過に伴い、8日夕にかけて断続的に大雨となる見通し。最大で1時間に20ミリの強い雨が予想され、同庁は土砂崩れに注意するよう呼びかけている。